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zoom RSS LP辞典(鱒書房・1953発行)からオーディオ黎明期に思いをはせました(後編)

<<   作成日時 : 2017/03/04 21:50   >>

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 前編を書いたところで改めてネット検索すると、女性経営コンサルタントの常田アキエさんと言う方のブログにたどり着きました。
 ブログの記事名は『異能とルーツ〜「夫婦生活」』 http://ameblo.jp/akietsuneta/entry-10778513364.html
 
 このブログで鱒書房の創業者が増永善吉さんだとわかりました。そうか、増永(マスナガ)だからマス、鱒書房なんですねw
 私は創業者はマス釣りが趣味なのかな?富山の方で鱒寿司が好物なのかな?と想像を膨らませていました。
 ブログ主の常田さんは鱒書房創業者の増永善吉さんのお孫さんです。常田さんの御母堂(増永善吉さんの娘さん)には酒飲みで豪快で、娘に甘いエロ雑誌の社長として記憶されてるようですが、増永善吉でググると昭和14年に鱒書房を起業する前は、札幌でレコード店をやっていたとありました。
https://kotobank.jp/word/%E5%A2%97%E6%B0%B8+%E5%96%84%E5%90%89-1655015

 ナルホド、それで「LP辞典」なんですね。この本には下の写真の様な付録の小冊子が付いており、藤田氏、高城氏の執筆者による本の紹介の前に「増永善吉」なる方が解説を書いています。
 書評を書くプロの文章だと思っていましたら、コレ、出版社の社長さんが自分で書いてるんですね。こんなケースは珍しいのでは?よほどこの本には思い入れがあったものと思います。
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 この本、LP辞典は月刊「夫婦生活」で商売を当てた4年後に出版されています。
 カストリ雑誌をやる前、戦前戦中などは鱒書房には純文学や戦記物でもベストセラーが幾つもあったようです。
 カストリ雑誌としては大ヒットとなった「夫婦生活」だって元々、文豪・菊池寛が刊行していた雑誌「話」を譲り受けたものの部数が低迷するため大幅に企画を変更し、第4号の特集「不感症の治し方」でブレイク、「夫婦生活」にリニューアルしたものだそうです。

 このあたりはベンプレ親父が敬愛する団鬼六先生に通じる所がありますね。
 団先生は趣味の将棋(アマ6段)が高じて「将棋ジャーナル」を押し付けられ四苦八苦、結局つぶして家屋敷を失いましたから、増山善吉氏の方が経営者としては上だな。見切りと変わり身の早い所がイイよね。
 団先生はご自身の小説を目玉にした「SMキング」を同時に発刊して「将棋ジャーナル」を維持しようとしましたがダメでした。

 しっかり稼いで、余力で好きな仕事をやらないとね。好きな仕事に力を入れ過ぎて、稼ぐ仕事がおろそかになっては好きな事も出来ないからねw
 まあその、増永善吉氏も団先生も「夫婦生活」、「SMキング」が気に入らなかった訳ではないでしょうが(世の中、嫌いな仕事で稼げるほど甘くないです)。
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 この写真はLP辞典の中に紹介されているLP鑑賞サロンの写真です。憶測ですが、このサロンは増永氏の自室では?まだモノラルLPの時代ですから、ジェンセンのトライアキシャルを中心としたモノラル装置ですね。
 部屋の右前にモーツァルト(?)を男前にデフォルメした肖像画が掛けてありますね。モーツァルトはあの天国的美しさの楽曲を書きながら、私生活はアレでしたから、この辺も増永氏と相通ずるものが有るのかもしれません。

 増永氏がアレだと言っているのではありません。人間には多面性があり、アレな雑誌を乱発して稼ぐのも増永氏であり、名著LP辞典を編み、最高の再生装置をあつらえて古典音楽に耽溺し、魂の高揚を得るのも増永氏だという事です。
 ベンプレ親父はこんな人の方がスキですね。奥行きがあるよね。

 LPがアメリカで発売され始めたのが1948年、その僅か3年後にこの大著は執筆が開始され、5年後の1953年には発刊されています。当時のマニアのエネルギー、情熱にはシャッポを脱ぎますな。

 増永氏は1967年、58歳で亡くなられていますので、現在の私と同じ歳です。そう言えば五味康介先生も58歳で亡くなられていますね。
 どんな装置で何を聴いておられたのかな?想像すると楽しいですね。耽美的な音がするAXIOM80なんかどうかな?アンプは浅野勇さん設計の2A3シングル辺りで。
 夭折した美貌の、そして(姉の書簡に依ると)性的に倒錯していた天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレのエルガーなんか聴いちゃうとか。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
先生の読んでいる本は興味深いものが多いですね。
以前、コメントで紹介されていた「真実の瞬間」も、読みごたえがありました。
自己啓発、経営学…先生が面白いと思われた本をぜひぜひ紹介して下さい。
進化爆発
2017/03/06 20:29
ご返事遅くなりました。

「マネーの虎」に出演していた堀之内九一郎(生活倉庫社長)の書いた「どん底からの成功法則」、「野良犬の成功法則」は如何でしょうか。
立派な人の書いた立派な経営書は世にあふれていますが、この2冊は人間の欲望と欲に生きる姿、それを成功に変える力が述べられていると思います。
私は随分感銘を受けました。「ベンツの最高車種に乗るために仕事をしてみろ」「ファーストクラスに乗るために仕事をしてみろ」など誰も語らない不思議なエネルギーを感じます。
エゴイズムの塊の様な人です。彼が成功のピークに書いた本ですが、彼はその後生活倉庫を倒産させ破産します。
(続く)
ベンプレ親父
2017/03/10 07:13
(続き)
実は「マネーの虎」に出演していた経営者の大半が今では破産しています。
事業欲の源泉を明らかにする本ですが、その後の彼を見ると、継続には個人の欲だけではダメと判る示唆深い本です。
なにも難しい事は書いていないのですが、不思議な読後感が有りジワジワ来ます。いろいろ考えさせられる本です。中小企業の経営者の中で隠れたブームになっていたそうです。
成功するには「一種の暴力的な我欲」が必要と示唆する本ですが、それを継続させるには「共に成功を分かち合う共感力」が並行していなければならないと考えさせられます。
ベンプレ親父
2017/03/10 07:15
本のご紹介、誠にありがとうございます。
奥行きがある人物が著す本は、味わい深いものが多いので、是非とも読んでみたいと存じます。
経営・思想・社会・文化人類…分野にかぎらず、先生が面白いを思われた本を、ときどきブログで取り上げていただければ幸いです。
進化爆発
2017/03/12 23:45

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