陽子線治療の保険適応が拡大、特に前立腺がんに期待 !!
(伯鳳会グループのがん評者線治療の拠点、大阪陽子線クリニック(大阪市此花区)のポスターです)
1月17日の中医協で陽子線、重粒子線の保険適応の拡大が決定しました。
2016年に既に小児がんへの陽子線治療、骨腫瘍等への重粒子線治療が保険適応になっていたのですが、今回骨腫瘍等に陽子線治療の保険収載が認められ、新たに前立腺がん、一部の頭頸部がんにも陽子線、重粒子線の治療が保険適応になりました。
これまでは高度先進医療として保険医療と自費診療の併用が認められてはいましたが、自費診療分が約300万円と高額になるため、民間保険の高度先進医療特約に入っていない患者様の負担は大きなものでした。
4月から前立腺がん等は保険収載となるため、一般の診療と同じように治療を受ける事ができるようになりました。
大変喜ばしいことですね。
オプジーボの様に、保険収載されており、効果はあるものの一人数千万円の医薬品費がかかるがん治療も広く行われていますから、300万円は保険収載となれば安い治療になりますね。
更に、保険点数は現状の自費300万円よりかなり安く、150万円程度になりそうです(自己負担は最大月7万円程度)。機械の導入に60億円ほどかかり、9時5時診療なら年間300人程度しか治療できないのが陽子線ですから、単独で採算をとることはこれで絶望的になりました。
しかしこのように適応拡大が続けば近い将来、治療機はフル稼働できそうです。なんとか人員を確保して、現在の透析医療のように夜間陽子線治療なども行うようにすれば500人くらい治療できるかもしれませんね。
私の先輩の外科医の先生が、アメリカに行ったとき、「膵臓がんを日本はまだ手術してるのか?アメリカは放射線だ」と言われたそうです。
まだ充分なデータが揃っていませんが、膵臓がん、肝臓がんの陽子線での治療成績は手術と同等、あるいは上回る成績が期待されているようです。
伯鳳会グループが大阪陽子線クリニック開院を決定した当時(2013年)は、まだ粒子線治療が保険収載されている疾患はなく、まさかこれほど早く保険収載されるとは夢にも思っていませんでした。
大阪陽子線クリニックと密に連携をとる伯鳳会グループ最大規模(482床)の病院である大阪暁明館病院は泌尿器科に強い病院です。前立腺がんの陽子線治療が保険収載となったことはBig Waveになりそうです。
伯鳳会グループ一同、このチャンスの女神の前髪をしっかりと掴み、患者様により良い医療が提供できるように頑張ります。
東京新聞のWEB記事は以下です。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018011701001701.html
『厚生労働省は17日、がん粒子線治療について、4月から前立腺がんや頭頸部のがんの一部に公的医療保険を適用する方針を決めた。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会で同日、了承された。現在は自費だけで300万円前後かかっているが、保険適用で患者の自己負担が軽くなる。
粒子線治療は水素の原子核である陽子や、より重い炭素の原子核である重粒子を加速器でビームにし、がん細胞に当てて殺す治療法。従来のエックス線治療に比べ、ピンポイントで患部に照射することができる。2016年に小児がんの陽子線治療と手術が難しい骨や筋肉のがんの重粒子線治療が、保険適用になっている。
(共同)』
陽子線と同時に保険収載拡大が決まったロボット手術はダ・ヴィンチの独壇場です。このロボットはインテュイティヴ・サージカル社製でアメリカからの輸入品です。
それに対し、陽子線治療機は、三菱電機、日立製作所、住友重工の3社が世界をリードしています。
世界のがんセンターと言われるアメリカのMDアンダーソンがんセンターに入っている陽子線治療機は日立製です。
日本が世界をリードする粒子線治療でイノベーションを興し、画期的ながん治療と産業振興を両立させるために、今回の粒子線の保険適応拡大は大きな追い風ですね。
三菱電機は粒子線部門を日立製作所に身売りする事になりましたが、もう少し粘れば商機が拡大したかもしれませんね。
まあ、世の中そんなものですけど。
P.S.
なんでも昨年は白物家電が国内で2.3兆円も売れ、大変な活況だそうです。しかしその中心はダイソンの掃除機、自動掃除機のルンバなど海外製だそうです。ジューサー、ミキサーのようなクラシックな白物家電もドイツ製の15万円もする奴が結構売れています。
そういえばベンプレ妻が新しく入れた食器洗い機はナントカというドイツ製の高ーい奴ですが、焼肉のプレートでも平気できれいにする、水の使用量も少ない優れものだそうで、ベンプレ妻はルンルンです。
白物家電は利益が薄い、もう日本が作る商品じゃない、中国や新興国が作るローテク製品だと見切りをつけた日本の家電メーカーがアホだったわけですな。
最近は「選択と集中」のウェルチ流で一世を風靡したGEも業績不振です。
似たようなことをやった東芝も、原発という制御不能な怪物に経営資源を集中したおかげで解体されました。
なんだか示唆に富みますな。
医療介護事業なんて、電気製品の製造販売以上に顧客密着型の商売ですから、良いとこ取りを狙ったら絶対に足元をすくわれますよ。
目先の1円を拾い集め、白兵戦を戦い抜くものこそ最後の勝利者になります。
この手の仕事にはスターも天才も不要です。粘り強く戦い抜くタフな実務者こそが最強の兵士です。
この記事へのコメント
さて、山中先生の研究所は大変なことになっていたのですね。他の事で忙しく詳細は分かりませんでした。これまで諦めるしかなかった病気の治療に光が差したんですから、とにかく良い方向に対処出来ると思いますが… 素人の意見ですみません。
先日の追記です。私の携帯がおかしくなった時に、先生ともう一人全く同じコメントをいただいたことを夫に話したら笑っていました。ところが、翌日夫の携帯がおかしくなり一人ぶつくさ言ってふて寝しました。心の中で思いっきり笑ってやりました。翌日ショップに行ったら異常なしでした。不思議な事は続きバタバタした毎日です。
赤字で伯鳳会グループの成長スピードが鈍化したとしても、他施設を上回るデータの蓄積があれば、その価値は十分アリだと思います。
10年、20年と長い目で温かく成長を見守ってあげて下さい(^^)/
陽子線が次世代のがん治療として保険収載が広がりつつあることは大変楽しみです。人生100歳時代に向けて、まだまだ医療のできることはありそうです。
私も一医療経営者として頑張ります。よろしくお願いします。
社員や、他の事業所のためにも、大穴のあいた銀のバケツにならないことを祈ります。
黒字化は陽子線装置の減価償却が終了するまで不可能ですが、FCFを早期に黒字化し、次は単独で借入金の返済ができるようにしなければいけませんね。
頑張りましょう。