122.6kg プレーで返せ 日大フェニックス・ラフプレーに思う
(写真は私の母校、麻布高校アメリカンフットボール部ファイティングビーのホームページhttp://fightingbee.jp/から拝借しました)
ベンプレ親父の出身大学である日本大学のアメフト部、フェニックスのvs関学戦での目を覆うほど酷いレイトタックル事件の収集がつきません。
私は高校で3年間、社会人で10年間、合計13年間アメフトをしましたが、あんなプレーは見たことがありません。
試合中の反則はあります。しかし意図的な反則はありませんし、ましてや相手選手にケガを負わせる事を狙ったプレーはありえません。
私はラインマンでしたが、ホールディングもトリッピングもクリッピングもしたこともされたこともあります。しかしプレー中に意図的に反則をしたことはありませんし、私のチームメイトにもそんな選手は一人もいませんでした。
試合中に相手チームの選手に酷い反則をされることはあります。その時にどう対処するか。
高校の監督の佐藤文夫先生(日本体育大学キャプテン、センター、関東大学選抜選手)に言われたことは「プレーで返せ」でした。
反則をされたら、次からのプレーでアサインメントに基づいた、より一層のハードヒット、ハードタックルを行い、パニッシュする。
フットボールは勝つため「だけ」にやる。ですからプレーは全て勝つために純化されたものでなければならないのです。
今回のレイトヒットは監督の指示らしいです。にわかに信じられませんが本当でしょうか。
一説によると、昨年の甲子園ボウルでエースQBを壊された(もちろん正当なプレーによって)報復だとか。
いくらなんでもソレはないと思いますが。
試合が済んで半年後に、そんな・・・
「プレーで返せ」とは程遠い。
私が最初に思ったのは、年末の甲子園ボウルに向けての対策かもしれないなと。甲子園ボウルに両チームが揃って出られるか否かは何とも言えませんが。
いずれにしても異常です。
2年前、ライスボウルで学生チャンピオン立命館と社会人チャンピオン、オービックがぶつかり、逆転勝利をかけた最後のフィールドゴールを立命館が外して試合が終わりました。
翌日、このプレーの時にオービックの守備選手が12人(一人多い)フィールドに入っていたことが分かり、問題になりかけました。
その時立命館の監督はこう言いました。
「ゲームは昨日終わっている。我々は協会と審判団のおかげでプレーできており、感謝の気持ちしかありません」
私は感動しました。日本一を争うチームはこうなんだ。これなら選手は命を捨ててでも付いていく。
しかし昨年ライスボウルに進出した、我が日本大学フェニックスはなんという事でしょう。
半年前の正当な試合中のケガの報復をしたのでしょうか。それとも半年後の甲子園ボウルの対策をしたのでしょうか。
私はフットボールで多くのことを学びました。いや、全てを学んだといってもいいかもしれません。
学んだことの一部を上げますと、
「ハードとラフは違う」
正当なプレーで、どれほどハードなプレイをしても良いが、いやそれは賞賛されるが、ラフプレーは完全に否定される。それらは全く別のものである。
「グッド・クリーン・バイオレンス」
男にはバイオレンスに対する渇望がある。それをグッドでクリーンな行為として昇華し、行うことは善となる。
「笛から笛まで」
フットボールは死者の出ない戦争である。レディ・フォー・プレーの笛からボールデッドの笛までは戦場である。そこには一部のスキもあってはならず、そこには個は全く存在しない。
(サッカーで試合中にフィールドに寝ている選手を見ると、今も不思議でたまりません。戦場で足がもげたら、アメリカンフッボールの選手なら這ってでも戦います)
勝利至上主義は正しい。それこそがスポーツを学びの場とする事ができるのです。先鋭化した究極の行為からしか人は何も得られない。学べない。
しかし、勝利至上主義の方向性を間違えたものは、これほどの地獄に落ちる。悪魔と化す。
人生の全てを学ぶことができるウルチメイト・スポーツであるフットボールで、そして全ての価値の最上位にあるフットボールで、日大フェニックスはなんという馬鹿なことをやっているのでしょう。
君たちが5月6日にやっていたのはフッボールじゃない。
これが常態化していない事を祈るばかりです。
P.S.
私のベントレーのナンバープレートは「姫路330 や ・・60」です。60は私が13年間付け続けた背番号です。
私は還暦を迎えた今でも、60番を一番大事にしています。
日大フェニックスの選手は今、自分の背番号を誇れますか?
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