SUTUDER C37導入記(その3.)
(スチューダーC37のケース前側を開けた写真です。ブロックごとに分割されたアンプ部が入っています)
我が家にやってきたC37ですが、私の前に二人のオーナーがおられました。そのうち一人は故人です。デッキの使いこまれた様子を見ると、さらにその前はレコード会社で使われていたのではないかと思います。
五味先生の文章にもある様に、使用時間はデッキのカウンターで分かるそうですが(五味先生のC37は実働時間12,000時間でした)搬入された現物はテープカウンターのベルトが外されており使用時間は不明です。
実はこのテープカウンターは少々音がするので、外して使われることが良くあったようです。
※使用時間判りました !! 2月18日のブログに書きますw
さてこのC37、故人から二人目のオーナーが入手されたときはメカは動くものの、片チャンネルしか音が出なかったそうです。
整備を繰り返し、機械油をさし、しかるべき人に修理してもらって完動品になりました。その方はスチューダーをたくさん触っておられる方なので、二人目のオーナー様を介して補修部品も頂きました。
補修部品の中では特にリレーが大切だそうです。なんでも小型と大型の二種類のリレーが使われており、大型のものは日本製でイケますが、小型のものは確かラトビア(だったかな?)から取り寄せたとか。
他の方に聞いたのですが、ラトビアは旧ソ連の工業集積地だったそうです。ソユーズやミグ29を飛ばす部品を作っていたのでしょうか。それなら安心ですね。
他にもレストアのポイントはたくさんあるのでしょうが、ベンプレ親父程度の知識では判りません。ごめんなさい。
肝心の2Tr38のプリレコーデッド・テープですが、蛇の道は蛇、それなりの入手ルートがあるようです。C37が来るまでに10本ばかり準備しました。
リードテープやテープカッター、リードテープを張り付けるスプライシングテープなど一式はルボックスA77を買ったときに準備しましたのでOKです。
ここから先は先輩からの耳学問とネット情報です。
テープにはイコライザーの規格が2種類あるそうです。NABとCCIRだそうで、CCIRのテープをNABで再生するとハイ上がりになるという事です。
私はテープにもイコライザーカーブが複数あることを知りませんでした。
LPはRIAA以外にいくつものイコライザーカーブがありますから、一般的なものは二種類だけのテープはまだマシかもしれません。
アメリカ、日本はNABで、ヨーロッパはCCIRが多いそうです。日本製のデッキはNABですが、デンオンの局用テレコだけはNHKの要請で、NAB-JというNABとCCIRを混ぜた様なイコライザーカーブを採用していたそうです。
なおC37は下の写真のようにNABとCCIRが切り替えて使えるようになっています。
さてFM放送では年末のバイロイト音楽祭をはじめ、ヨーロッパ各地のライブ録音をやってくれます。今はデジタルで送ってくるのでしょうが、以前はオープンリル・テープでした(各社のテープがツギハギで来るので、シマウマ状態の事もあったとかw)。テープのイコライジングカーブは、まずCCIRで間違いないしょう。
NHKはデンオンの機材を使う事が多いようですが、これはNAB-Jですから、ヨーロッパの録音テープの再生には何を使っていたのでしょうね。日本製ならTEACのR313あたりが当時の業務用デッキでは幅を利かせていたようですが、こちらにもCCIRが入っていないのでは?。
そうなるとNHKにはC37が少数入っていたのかな?
しかしデッキの分かる人はテープのイコライザーカーブを自分で作るそうですから、NHKのデンオンのデッキにもCCIR仕様に改造した物があったのかもしれません。
それから、C37は12インチリールがかけられるそうです。
私はオープンリールは7インチと10インチだけだと思っていましたら、12インチ、15インチ(14インチ)という規格があるそうです。
このあたりも16インチの業務用トランスクリプション・レコードがあるLPとよく似ていますね。
この記事へのコメント
C37なんて身に余る逸物を手に入れてしまい、恐縮しています。
音、今更ですが良いですね。ナットキングコールのテープを買いましたが、凄く良いです。
2TR38テープ、これからたくさん買いたいですw