ロッシーニのオペラ、坂口裕子さんがコルテーゼ夫人を歌う「ランスへの旅」を観てきました
昨日から東京出張ですが、今日は午前中に少しあそか病院で仕事をした後、昼過ぎからベンプレ妻と一緒に新国立劇場でロッシーニのオペラ、坂口裕子さんがコルテーゼ夫人を歌う「ランスへの旅」を観てきました。

坂口さんは兵庫県竜野市出身のソプラノ歌手です。10年以上前からイタリアから帰国された折に赤穂中央病院でコンサートをお願いしていました。
近年日本を中心に活動されるようになり、今回は藤原歌劇団の公演、「ランスへの旅」で重要な役を歌われました。
坂口さんは声ももちろんですが、演技力がことのほか高く、このようなオペラ・ブッファには良く嵌りますね。美人なのですが、コメディエンヌの素質がある方です。
今回も何本もアリアを歌われ、良い所を魅せてましたねw
さて、このオペラは1824年、シャルル10世がランスのノートルダム大聖堂で戴冠式を行うために、ヨーロッパ中から物見遊山に集まった貴族たちがランスに入る前日に留まったホテルでの一夜のお話です(コルテーゼ夫人はこのホテルの女主人)。
お話はたあいのない軽いもので、小芝居と沢山の楽しい歌を楽しむ娯楽色の強いものです。
藤原歌劇団は最初にオペラの解説がある様ですが、「筋書なんて関係ない、歌を楽しんでいって下さい」という事でした。
このオペラは実際にシャルル10世が戴冠する時に合わせて作られ、戴冠前後にはブームになったそうです。このオペラではなんと18人もの人がアリアを歌うそうで、いわば戴冠のお祭りに合わせたオールスターキャスト、顔見世興行みたいなやつだったらしいです。
このオペラは初演時の大ヒットにもかかわらず、オールスターキャストが揃わない、金がかかるという理由でその後150年も演奏されなかったそうです。
というお話でしたが…ベンプレ親父はそうではないと思います。このたわいのない娯楽作は大変政治色が強い作品だったせいではないでしょうか。
フランスは1789年から1799年のフランス革命で王政が断絶、その後のナポレオンの時代を経て、1815年から王政復古がなされます。1824年にシャルル10世が王政復古後の2代目の国王となりますが、その6年後には7月革命が起き、ついに王政は終焉を迎えます。
オペラはシャルル10世戴冠に合わせたもので、最後はシャルル10世の賛美と王政の賛美で大団円となります。
シャルル10世は戴冠直後から圧政を敷き、国民の人気を急速に失いました。この環境では「ランスへの旅」なんて上演不可能ですよね。
たとえ音楽的に優れていたとしても、他国だってフランスに忖度して、これは演り難いでしょう。
再終の場はランスに行くために集まった貴族の夜会です。ドイツ、ポーランド、イギリス、スペイン、ロシアなどの貴族が各々お国自慢の歌を披露します。
イギリスとドイツは国家を披露します(手抜きやねー)が、フランスはラ・マルセイエーズは歌いません。
フランスの国家は1792年に作曲された、ラ・マルセイエーズです。1795年に国会の決議を経て正式に国歌として採用されましたが、この歌はフランス革命の革命歌でもありました。
しかし、この歌は帝政を否定する意味があるため、ナポレオン時代の1804年から7月革命の1830年まで国歌でありながら、歌う事が禁じられていたそうです。
「ランスへの旅」のフランス人の歌うエンディングの歌はシャルル10世賛歌(最後は全員の大合唱になります)です。うーむ、当時のお祭り気分ならそんなものだったのでしょうが、こりゃーフランスでは演れませんな。
この楽しいオペラブッファ、筋書きもたあいのない歌芝居が時代が少し変わると大きな政治的意味を持ち、上演禁止演目的な運命をたどりました。
やがて楽譜が散逸し、150年後のロッシーニ・リバイバルの時に音楽学者が四方八方に手を尽くしてこのオペラを復元したそうです。
こういうサブストーリーもオペラに深みを与えますね。
でもこのオペラ、美しい歌があふれています。CDでも買って、天気の良い土曜日の午後に、VITAVOX Bass Binあたりでテレーっと聴きたいですね。
しかし現在のフランスもつい先日まで「黄色いベスト運動」が繰り広げられ、政治的緊張が続いているようです。
今のフランスでも、このオペラはウケないかも。
イギリスはEU離脱で大揉め、米中は貿易戦争中、ホルムズ海峡はキナ臭く、日韓も揉め続けています。
北朝鮮は相変わらずですし、中東も落ち着きません。
どーも「ランスへの旅」をボケッと聴いてる時代じゃないのかも。

坂口さんは兵庫県竜野市出身のソプラノ歌手です。10年以上前からイタリアから帰国された折に赤穂中央病院でコンサートをお願いしていました。
近年日本を中心に活動されるようになり、今回は藤原歌劇団の公演、「ランスへの旅」で重要な役を歌われました。
坂口さんは声ももちろんですが、演技力がことのほか高く、このようなオペラ・ブッファには良く嵌りますね。美人なのですが、コメディエンヌの素質がある方です。
今回も何本もアリアを歌われ、良い所を魅せてましたねw
さて、このオペラは1824年、シャルル10世がランスのノートルダム大聖堂で戴冠式を行うために、ヨーロッパ中から物見遊山に集まった貴族たちがランスに入る前日に留まったホテルでの一夜のお話です(コルテーゼ夫人はこのホテルの女主人)。
お話はたあいのない軽いもので、小芝居と沢山の楽しい歌を楽しむ娯楽色の強いものです。
藤原歌劇団は最初にオペラの解説がある様ですが、「筋書なんて関係ない、歌を楽しんでいって下さい」という事でした。
このオペラは実際にシャルル10世が戴冠する時に合わせて作られ、戴冠前後にはブームになったそうです。このオペラではなんと18人もの人がアリアを歌うそうで、いわば戴冠のお祭りに合わせたオールスターキャスト、顔見世興行みたいなやつだったらしいです。
このオペラは初演時の大ヒットにもかかわらず、オールスターキャストが揃わない、金がかかるという理由でその後150年も演奏されなかったそうです。
というお話でしたが…ベンプレ親父はそうではないと思います。このたわいのない娯楽作は大変政治色が強い作品だったせいではないでしょうか。
フランスは1789年から1799年のフランス革命で王政が断絶、その後のナポレオンの時代を経て、1815年から王政復古がなされます。1824年にシャルル10世が王政復古後の2代目の国王となりますが、その6年後には7月革命が起き、ついに王政は終焉を迎えます。
オペラはシャルル10世戴冠に合わせたもので、最後はシャルル10世の賛美と王政の賛美で大団円となります。
シャルル10世は戴冠直後から圧政を敷き、国民の人気を急速に失いました。この環境では「ランスへの旅」なんて上演不可能ですよね。
たとえ音楽的に優れていたとしても、他国だってフランスに忖度して、これは演り難いでしょう。
再終の場はランスに行くために集まった貴族の夜会です。ドイツ、ポーランド、イギリス、スペイン、ロシアなどの貴族が各々お国自慢の歌を披露します。
イギリスとドイツは国家を披露します(手抜きやねー)が、フランスはラ・マルセイエーズは歌いません。
フランスの国家は1792年に作曲された、ラ・マルセイエーズです。1795年に国会の決議を経て正式に国歌として採用されましたが、この歌はフランス革命の革命歌でもありました。
しかし、この歌は帝政を否定する意味があるため、ナポレオン時代の1804年から7月革命の1830年まで国歌でありながら、歌う事が禁じられていたそうです。
「ランスへの旅」のフランス人の歌うエンディングの歌はシャルル10世賛歌(最後は全員の大合唱になります)です。うーむ、当時のお祭り気分ならそんなものだったのでしょうが、こりゃーフランスでは演れませんな。
この楽しいオペラブッファ、筋書きもたあいのない歌芝居が時代が少し変わると大きな政治的意味を持ち、上演禁止演目的な運命をたどりました。
やがて楽譜が散逸し、150年後のロッシーニ・リバイバルの時に音楽学者が四方八方に手を尽くしてこのオペラを復元したそうです。
こういうサブストーリーもオペラに深みを与えますね。
でもこのオペラ、美しい歌があふれています。CDでも買って、天気の良い土曜日の午後に、VITAVOX Bass Binあたりでテレーっと聴きたいですね。
しかし現在のフランスもつい先日まで「黄色いベスト運動」が繰り広げられ、政治的緊張が続いているようです。
今のフランスでも、このオペラはウケないかも。
イギリスはEU離脱で大揉め、米中は貿易戦争中、ホルムズ海峡はキナ臭く、日韓も揉め続けています。
北朝鮮は相変わらずですし、中東も落ち着きません。
どーも「ランスへの旅」をボケッと聴いてる時代じゃないのかも。
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