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zoom RSS ウエスタンエレクトリック13Aレプリカ&WE555導入記 その13.

<<   作成日時 : 2017/09/07 19:04   >>

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 (555の正面です。レシーバーの横面にあるのが励磁電源用の端子、端子の先端に7Vと書いてあり、+、−の刻印もあります。正面のL1、L2と打刻してある端子が信号入力端子です。WEのお約束でL1がプラスです。
 うっかり励磁電源コードを信号端子につなぐとボイスコイルが焼き切れてしまうそうなので、端子の先端に大きな文字で刻印が入っているのでしょう。励磁電源のコードと信号のコードを間違えないように、全く違う線にしないといけませんな。
 電源コードはベルデンの8417、12GAのメッキケーブルで、黒白の縒り線の上にグレーの被覆がされたもの、信号コードはやはりメッキ線ですがウエスタンの16GA、布の被覆がされたものを使ってみます)

 MGM映画の音響システム部門がウエスタンエレクトリックの音に(リース料に?)不満を持ち、同社の音響部門長のダグラス・シャラー氏がジェームス・バロウ・ランシング氏らを招き、ランシング・マニファクチャリング社のユニットを使用して共同開発したのが件のシャラーホーンシステムです。
  
 このシステムの音がウエスタンエレクトリックのトーキーシステムを打ち破り、その後のMGM直営館ではランシングが使用されることになった有名な事件は1936年、TA4181とWE594で構成するミラフォニックが発表された年です。
 MGM社はWEの音に不満で自社開発を目論んだそうですが、MGMが不満を持っていたのは、時期から考えると、ミラフォニック・システムではなく555+15Aの音だったのではないでしょうか。

 もしかするとウエスタンエレクトリックはランシングとMGMの動きを事前に察知して、慌ててミラフォニック・システムを開発し、対抗したのかもしれませんね。
 当時のトーキー映画は一大産業、最先端技術でしたから、今では想像できないほどの熾烈な開発競争が行われていたのかもしれません。

 MGMと組んでウエスタンに一泡吹かせたジェームス・バロウ・ランシングは1941年、ランシング・マニファクチャリング社の経営に失敗し、独禁法で分社化されたウエスタンの音響部門アルテック社に自社を吸収合併されました(アルテック・ランシング社)。
 ランシング本人もアルテックに買われ、副社長兼技術部長となったのですから皮肉ですね。
 でも彼は此処で515、288などの後世に残るスピーカーを開発し、その後のラウドスピーカーの範となる一つの頂点を築いたのですから、その才能は恐るべきものだったのでしょう。

 ランシングは1946年、アルテック・ランシングを飛び出してJBL社を作り、名器D130や175を開発しますが、再度経営に失敗し1949年、わずか47歳で自社工場の庭に生えていたアボガドの枝の露と消えました。
 そして栄光のウエスタンエレクトリック音響部門であるアルテックも徐々に力を失い1985年、エレクトロボイスの軍門に下り、吸収合併されます。
 今ではアルテックの名はパソコンのデスクトップスピーカーに残るのみです。

 「強者どもも夢の跡」というわけでしょう。

 私たちの世代が鬼籍に入り、555、515、288とその仲間たちが寿命を迎えるとき、長い長いウエスタンエレクトリックの伝説と、稲妻のようにその伝説を駆け抜けた天才ジェームス・バロウ・ランシングの物語も終わるのでしょう。

 WE555+15Aを打ち負かしたシャラーホーンに使用されたランシング社の15XS励磁型ウーハー、284励磁型ドライバーがアルテック・ランシングの515、288の前身で、英国に渡って私が愛用している2080A、2090Aに改良されました。
 そして今、東洋の島国の片隅で、初老の親父が2080A、2090Aの前で、新たに555を鳴らそうとしています。なんだか因縁といいますか、人間の業の深さを感じて、私は少し恐ろしいような気がします。

P.S.
 今回のブログ記事は三上剛先生のホームページ、ステレオサウンドの別冊、池田圭先生、伊藤喜多男先生、渡辺直樹先生の成書とベンプレ親父の記憶をつなぎ合わせて書いています。
 本によって細かな数字が異なっているようです。ここまでに記した12A、13A、15Aの諸元はひとまず三上先生のHPに準拠しました。

 新忠篤先生が書かれた記事では12A、13A、15Aのサイズ、重量は12AがW114.3cm、H171.5cm、D119.3cm、81.0kg(81.5kg)、13AがW137.2cm、H137.2cm、D160cm、112.5kg(113.3kg)、15AがW143.2cm、H179.1cm、D134.9cm、49.5kg(63.4kg)となっています(カッコ内は三上先生のHPの数値。新先生記事のW、Hはホーン開口部ではなくホーン全体での表示と思われます)。

 また、新先生は15Aの音道の長さは3.3mで12Aと同じと書いておられますが、13Aは三上先生のHPの記載4.27mとほぼ同じ4.2mと書かれています(繰り返しますが、私が目の前で実測してもらったところ、スロートを含めて4.85mでした)。

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